- パワーハラスメントの再発を防止するためには、企業はどのような指導をすればよいのでしょうか?
- パワハラの再発防止には、加害者への適切な指導が不可欠です。上司の叱責が悪循環を生まないよう、原因を把握し、指示や接し方を改善します。一方、被害者への支援や業務分担の見直しを行います。これにより、職場の生産性を高めます。得られた教訓を職場全体に共有して意識改革と環境改善に活かし、従業員満足度の向上につなげます。
解説:パワハラの再発防止と上司・部下の生産性
パワーハラスメントの再発防止をするため、加害者に対し、企業としてどのような指導をすればよいのでしょうか。
パワハラの損害賠償責任を認めた判決では、自殺した若い事務員のミスが減らなかった原因として、ベテランの上司が感情的に当該事務員に対する叱責を繰り返したことにより当該事務員の心理的負荷が蓄積されたことも相当程度影響していると判断されています。裁判所は、繰り返される業務上のミスとこれに伴う継続した叱責によるストレスを重視しているのです。パワハラの要因がミスである場合、ミス→叱責→ミス・・・という悪循環が生じます。部下がミスしたことを上司から叱責されることで萎縮してしまうと生産性が低下します。それが上司のイライラが高じる要因となり、言動がエスカレートしてしまいます。負のスパイラルは、部下に与える心理的負荷を増大させて、うつ病を発病させる危険性があるのです。
生産性というと、「部下の要領が悪くて、生産性が低い」という上司がいるかもしれませんが、そもそも上司の指示の出し方が曖昧であり、これにより部下が戸惑ってしまう場面が見受けられます。上司の指示に問題があったにもかかわらず、上司自身がこれを認識できずにいると、指示どおりに動かない部下を責め立ててしまいます。そこで、人事労務管理スタッフとしては、管理監督者に対し、部下への接し方や指示出しの態様によっては部下の生産性を低下させ得るため、まず部下の話を聴き、問題の内容や原因を把握すべきであることを教育することが必要です。
そして、上司は知らず知らずのうちに言動をエスカレートさせ、「叱責のための叱責」を自身でセーブできないことがあります。管理監督者にはアンガー・コントロールのスキルを身に付けさせることも重要となります。
次に、被害者に対し、どのような指導をすればよいのでしょうか。
負のスパイラルを食い止めるため、部下のミスと上司の叱責との双方を同時に止めるよう配慮することが重要となります。
パワハラの要因が業務上のミスである場合、その原因究明や改善策を検討します。そこで、従業員が適時にハラスメント相談窓口に相談するよう周知することが望ましいです。
一方、ミスの原因は、被害者の業務内容や業務分配が過大であることもあります。▽上司が業務の負担や遂行状況を観察して適切に指導をする、▽被害者の業務量を軽減することが必要です。パワハラをしている管理監督者では解決できないのであれば、人事労務管理スタッフが早期に介入し、業務分配の見直しや増員を検討すべきです。
さらに、パワハラ問題が解決したらそれでおしまい、ではなく、ここから得られた教訓を再発防止策に反映することが肝要です。パワハラを個別問題として片付けず、職場や組織の問題として、パワハラを発生させる要因を低減し、管理監督者や従業員に対する意識啓発をします。これにより職場の人間関係が良好となり、コミュニケーションが円滑になります。パワハラ防止対策を実施して職場環境を良好なものとすることで従業員満足度が上昇すると、自社製品の品質とは別に、顧客や取引先へのサービス向上につながります。顧客満足度の上昇にも資するだけでなく、従業員の定着率が上昇することとなるでしょう。
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[人事部が注意すべき7つの落とし穴]
過労やストレスにより自殺をして労災認定された7つの事例や、部下との間でトラブルが発生するリスクがある管理監督者の7つの言動パターンには、労災損害賠償リスクとハラスメントリスクがあります。
>> 「上司の部下に対するハラスメントリスク」
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