事業承継における後継者育成の留意点は?

 経営者は、後継者を現役のうちに決め、その教育をしなければならず、後継者には事業の経験を積ませつつ、段階的に権限を委譲していきます。後継者が事前に経営全般に関する知識の習得や経営参画を行い、経営能力を養成するには。5~10年かかります。

 親族内承継や従業員承継において後継者を育成する際には、少なくとも次の4点に留意しなければなりません。

「知的資産の承継」

 第1に、後継者は、経営者が築いた企業ブランドや認知度などの無形資産、有形資産である不動産や設備といった経営資源を承継するので、自ら経営資源を調達することが不要です。ただし、経営者が設定した事業ドメインに縛られ、経営者の意思に配慮しなければならなくなります。

 このこと自体が直ちに問題となるわけではありませんが、経営者は、定期的に後継者とコミュニケーションを取り、これまでの経営理念や事業ドメインを引き継がせつつ、その再構築について後継者の意思を尊重することも必要でしょう。

「人(経営)の承継」として、権限委譲

 第2に、まず後継者に部門や子会社の運営を担わせ権限を委譲して部門運営をさせることで、経営経験を積ませます。複数の事業または業務のノウハウを習得させることが必要です。

 次に新たに経営幹部候補者を育成し、後継者が担った部門を統括させて権限を委譲することにより、後継者が組織全体を統括できる体制を構築します。

「人(経営)の承継」として、社内育成の開始時期

 第3に、後継者を新卒採用する場合、自社特有の能力やノウハウを身に付けられ、早期に組織文化や組織風土に触れることで従業員や取引先の支持を得られます。ただし、自社の慣習に同質的になることで後継者の思考や行動が硬直化するため、外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できなくなるおそれがあります。

 これに対し、後継者を中途採用する場合、自社以外の多様な価値観を醸成し、自社を客観的に分析する能力を育成できます。ただし、他社での経験や知識に偏重すると、自社の組織文化や組織風土を軽視し、従業員との間でコンフリクトが生じるおそれがあります。

 それぞれ長所と短所がありますので、いつの時点から社内での後継者育成を開始するかを外部環境や内部環境を分析して見極める必要があります。

「資産の承継」として、後継者への債務保証の引継ぎ

 第4に、親族内承継や従業員承継の場合、中小企業が負っている主たる金融債務の連帯保証債務を経営者から引き継ぐことがありますが、後継者が債務保証を負う覚悟を示して従業員に表明することで自社の事業に関する責任意識を醸成できるメリットがあります。

関係者の理解促進

 後継者の育成には時間を要するので、親族、役員、従業員、取引先や金融機関など関係者の理解を得ながら進めていきます。

 M&Aでも、単に株式を譲渡すればよいというわけではなく、事前に役員として経営参画させることにより、自社の組織文化や経営方針を理解させるための時間を設けることが関係者の理解を得ることにつながります。

 

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