【事案と受任前】
資格試験の予備校を運営している会社が、出版社の許諾もなく公刊書籍に掲載された図表を予備校のテキストに転載して、著作権(複製権)を侵害した事案です。
出版の差し止めと損害賠償を請求するため、当職が代理人に就任しました。
【弁護活動と結果】
相手方が遠方に所在しているため訴訟に至ることも想定し、訴状を起案するのと同程度の文書と一覧表を作成して送付したところ、相手方に代理人が就いたため交渉を開始しました。
出版社が複製部分を全て発見できていたわけでなかったので、相手方代理人には著作権侵害に当たる全ての図表を報告することを求めました。相手方の報告に基づき、相手方には侵害部分が掲載されたテキストと頒布中止と侵害部分の削除を受け入れさせるとともに、相手方より報告された侵害部分も含めて損害賠償金を計算し、これを支払わせることで合意しました。
また、著作権侵害がないことの表明保証、著作権侵害しないことの確約、修正したテキストの提供、損害賠償額の予約なども約束させました。
【解決のポイント】
著作権侵害している図表を綿密に調査し、これと侵害された書籍を対照して一覧表にしつつ、出版の差し止めや損害賠償に関する主張は裁判官がそのまま判決を起案できる程度に詳しい内容を書き込んだことにより、相手方が交渉の開始当初から全面的に当方の主張を受け入れざるを得なくなりました。
訴訟をせずに、判決を超える成果を獲得し、著作権侵害を是正、防止しました。