事業再生・経営改善コンサルティング
「利益は栄養、資金は血液」といいますが、中小企業の経営が窮境に陥った場合、計画的な経営改善を実行して本業のもうけである営業利益を稼ぎ、継続的にフリーキャッシュフローを増やしていくことが必要となります。
そのため、事業再生計画または経営改善計画を策定しなければなりません。この検討過程において、課題解決ばかりでなく、課題設定をします。事業再生の場面においても、一見迂遠に見える課題設定に取り組むことが有効です。
そして、この事業再生・経営改善のプロセスを金融機関に合理的に説明できるようにし、金融支援を確保して資金の調達源泉を獲得することも重要です。
窮境の状況になると、様々な経営面や法務面の問題点が噴出します。弁護士兼中小企業診断士・佐久間大輔は、認定経営革新等支援機関として、法的トラブルを解決したり、金融機関との交渉をしたりしながら、経営計画の策定・実行・統制など経営者の伴走支援をする、ワンストップで一貫したサービスを提供します。
以下では、現状把握から金融機関調整または債務整理開始までの流れに沿い、当職が提供するコンサルティングサービスの概要を説明します。
各段階において気になる点やお悩みの点がございましたら、経営面および法務面からアドバイスをしますので、お気軽にご相談ください。
1. 現状の把握
事業再生・経営改善に向けての経営者の意識変革、経営革新等支援機関への資料提供や質問に対する回答、専門家と協議をします。
【コンサルティング】沿革、業種、事業内容、取引金融機関、株主構成や役員構成、外部環境や内部環境、財政状態(資産・負債)や経営成績(売上高・費用・損益)、、運転資金(売掛金、在庫、買掛金)、日次資金繰り表、組織体制や規程、経営者個人の資産や負債・保証等に関するヒアリング、提供資料や事業・財務内容等の分析
2. 窮境原因の分析と除去可能性
外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)よりSWOT分析を行い、窮境原因を特定して経営改善施策による原因の除去可能性を分析するとともに、経営課題の把握とその解決可能性を分析します。
また、フリーキャッシュフローを試算して事業の持続可能性を分析します。
【コンサルティング】SWOT分析等の支援、事業面や財務面の課題解決と課題設定に関する助言・提案
3. 計画の策定
本源的な収益力の向上と財務基盤・信用力の強化を図るため、損益管理単位(製品・店舗・地域・顧客等)ごとの収益性(限界利益または貢献利益)の高低を基準に、事業内容、業務内容および財務構造を見直す経営改善施策を立案します。継続する損益管理単位ごとに売上高の増加、費用の削減、運転資金の削減を図る経営改善施策を実行する一方、継続しない損益管理単位は売却・撤退します。
「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に沿い、事業再生計画または経営改善計画、計数計画(損益計画、貸借対照表計画、キャッシュフロー計画)、各種施策の行動計画(アクションプラン)を策定します。
これにより、当面は金融債務の約定利息まで支払うに足りるフリーキャッシュフローを増やします。
【コンサルティング】経営改善施策に関する助言・提案、各種計画の策定支援
4. 取引金融機関との調整
取引金融機関に対して元本返済の一時停止・一時猶予を要請します。その上で、金融支援案(借入金返済計画)を策定し、バンクミーティングを開催して経営・財務の状況や事業再生計画または経営改善計画を開示・説明し、取引金融機関の意見を聴取して必要に応じて計画を修正します。借入金返済計画の変更(実現可能性が高い毎月返済額の設定と返済期間の延長)やDDS(債権の劣後化=資本性借入金)について、金融機関と交渉して借入契約を見直します。
債務免除を伴う金融支援においては、中小企業活性化協議会による支援や特定調停を申し立てることがあります。
【コンサルティング】金融支援案の策定や計画の修正に関する助言・提案、弁護士としてバンクミーティングや金融機関調整の交渉代理、契約書類の作成、中小企業活性化協議会や特定調停での申立代理
※弁護士資格を有しない認定経営革新等支援機関が交渉等の代理人に就くことは弁護士法違反となりますので、代理に関しては弁護士にご相談ください。
5. 体制の整備
従業員に対して経営方針の表明やアクションプラン等の周知を十分に行います。
製品や顧客ごとの売上高・利益の採算管理、月次決算による損益管理、資金繰り実績・見込による資金管理、接待交際費・広告宣伝費等の裁量的経費管理、役員報酬管理などを実行するための経営管理体制を整備します。
アクションプランを実行するための組織体制を整備し、責任者を決めたり、規則類や書式を作成したりします。
【コンサルティング】体制整備や経営管理に関する助言・提案、規則類や社内の実情に応じた文書の作成
6. モニタリングの運用
各種施策の期限を定めてアクションプランを実行します。その際には、計数計画と実績数値との差異分析や計画進捗管理など、定期的なモニタリングを行います。計画下方修正時には経営改善施策を見直す一方、計画上方修正時には追加返済を検討します。
計画の進捗状況や実績、経営改善施策の変更を取引金融機関に適時適切に報告します。
【コンサルティング】経営会議への出席、経営者や担当者との打ち合わせ、計画実行プロセス管理、モニタリングや計画の見直しに関する助言・提案、弁護士として金融機関への報告
7. 計画達成ができない場合
キャッシュフローがプラスである場合、事業再生計画においては、再リスケジュールまたは計画の見直しによる債務免除を検討して、金融機関調整を行います。暫定リスケジュール期間中の経営改善計画書においては、計画の見直しか中小企業活性化協議会への相談を検討します。
キャッシュフローがマイナスであり、かつ事業の持続可能性がない場合は、私的整理や民事再生により再生を図るか、廃業、破産や特別清算により会社を清算します。
会社だけでなく、保証人である経営者も債務整理の対象となります。破産や個人再生といった法的債務整理手続、「経営者保証に関するガイドライン」や特定調停などの準則型私的整理手続により保証債務を整理します。
【コンサルティング】弁護士として債務整理手続の代理(保証人の債務整理手続の代理は会社との顕在的な利益相反がない場合に限ります)
[Q&A]
経営面と組織面の一施策については、次のページをご覧ください。
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