個人情報漏洩におけるクレーム対応-被害回復・再発防止

 顧客の相談対応と並行して、セキュリティホールを塞ぐだけでなく、既に漏洩した個人情報を回収して拡散を防ぎ、顧客のプライバシー侵害が拡大しないよう尽力しなければなりません。顧客との信頼関係を維持するためにはその不安を取り除くことが重要ですが、それだけでなく、企業のイメージダウンを食い止めることができますし、損害賠償において有利な事情として考慮されることがあります。

 個人情報の漏洩について企業に過失がなければ損害賠償責任を負いませんが、調査の結果、個人情報の漏洩が不明であっても企業の過失が否定できないのであれば、顧客の被害を早めに弁償する方が顧客の不安を除去することになりますし、顧客との信頼関係を回復することができますので、示談の申し入れは早期に行った方がよいでしょう。

 場合によっては、個人情報が漏洩していない顧客についても、その不安感に対する償いとして一律に金品を交付することも検討することが必要です。

 これに対し、たとえ企業に責任が認められるとしても顧客が不当に高額な損害賠償請求をしてきた場合は毅然とした態度で断ってください。顧客でない者が便乗して金品の交付を要求してきた場合も、「早く退散してもらおう」と考えて要求を受け入れてはいけません。悪質なクレーマーや便乗者と企業にとって不利な解決をすると、それが拡大するかもしれず、一時しのぎにはなっても、結果として企業の経済的損失は増えますし、一層のイメージダウンの元となります。

 また、再発防止策として、個人情報漏洩防止体制(相談・通報体制、内部監査、情報管理規程)の整備、社内外の情報管理や電子データ管理の徹底、従業員教育を実施していくことが肝要です。再発防止が適切に行われれば、顧客や取引先との信頼関係が回復して売上低下を食い止めることができますし、企業のイメージ回復もできます。さらに損害賠償においては有利な事情として考慮されるでしょう。

個人情報保護に関するその他のQ&A


法律相談をご希望の方へ 労働問題に特化して25年の実績と信頼。弁護士 佐久間 大輔にご相談ください。 電話番号 03-3500-5300 受付時間:平日 9:00~18:00 赤坂見附駅(銀座線・丸ノ内線) 徒歩3分 永田町駅(半蔵門線・有楽町線・南北線) 徒歩5分