【事案と受任前】
ビルのオーナーチェンジにより建物の明け渡しを求められたものの、当初提示された立退料が、仮に明け渡しをする場合の費用や営業補償に見合う金額ではなかったため、当職が代理人に就任しました。
【弁護活動と結果】
当職がビルの新所有者と交渉をしたところ、立退料を当初の提示額より2.7倍に増額させるとともに、建物明け渡し時の原状回復義務を免除させました。ただ、新所有者の資力に不安を覚えたことから、通常は建物明け渡しと同時か明け渡し後に立退料が支払われるところ、立退料を先払いとし、立退料の支払いを確認してから1か月後に建物を明け渡すこと、立退料が支払われなければ以後の賃料・共益費だけでなく、水道光熱費の支払いも免除することを新所有者に受け入れさせ、合意をしました。
不安が的中し、立退料が約定の期日に支払われなかったことから、新所有者と再交渉し、立退料を増額させるとともに、移転先の賃料の一部を肩代わりさせる合意をしました。
立退料の支払いまでに1年半も要したのですが、最終的に当初の提示額より3.4倍に増額させた立退料を支払わせ、1年半分の賃料等の支払義務を免除させました。
【解決のポイント】
立退料の支払いが実行されることが懸念されたので、依頼者に有利かつ経済的負担が生じないような合意をしつつ、支払いが遅れたときは、法的手続を講じることを表明しながら、新所有者との関係を壊さずに粘り強く交渉した結果、最終的に増額させた立退料を全て支払わせることで解決しました。
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