仕事の注文または請負をするとき

 建設工事を請け負う場合、請負契約書において、工事の内容、場所、工程、仕様、請負代金額と支払いの時期・方法、一括下請負の禁止、連帯保証人、監理者、材料等の支給主体、特許権・実用新案権・意匠権等の使用、検査や引渡とその時期、解除事由などを定めます。

 改正前の民法では、建物など土地工作物の瑕疵担保責任は瑕疵修補や損害賠償であり、その期間は、原則として5年、コンクリート造り等であれば10年とされていますが、請負契約で免責することもできますし、期間を短縮することもできます。例えば、建物の構造については10年とし、それ以外は3年とすることができます。これに対し、改正後の民法では、まず注文者が追完請求権を行使することが認められました。すなわち、仕事の目的物が、種類または品質に関して契約の内容に適合しないものであるとき、注文者は、目的物の修補による履行の追完を請求することができます。また、改正後の民法では、追完請求以外にも報酬減額請求ができるようになりました。すなわち、注文者が相当の期間を定めて目的物の修補の催告をし、その期間内に修補がなされないときは、注文者は、その不適合の程度に応じて報酬の減額を請求することができます。ただし、▽目的物の修補が不可能である、▽請負人が修補を拒絶する、▽注文者が催告をしても修補をする見込みがない場合は、注文者は、催告をすることなく、直ちに報酬の減額を請求することができます。これらの請求とは別に、契約解除や損害賠償の請求をすることもできます。注文者は、契約内容の不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければ、請負人が契約内容不適合を知り、または重過失により知らなかった場合を除き、契約内容不適合を理由として、履行の追加の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができなくなるので、注意してください。

 民法上、請負人の報酬の支払時期は、仕事の目的物の引き渡しと同時と定められています。そのため、請負人は仕事を完成しなければ報酬を請求することはできません。しかし、改正後の民法は、仕事が完成しなかった場合でも既履行分については仕事が完成したとみなすと定めています。そこで、注文者の帰責事由によって仕事を完成することができなくなったときや、請負が仕事の完成前に解除されたときは、請負人は、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受ける割合に応じて報酬を請求することができます。また、請負契約で別の時期を定めることはできるので、出来高部分の報酬額と支払時期を契約書で特定しましょう。ただ、請負報酬債権は契約成立により発生し、これを譲渡することができますので、請負契約書に債権譲渡禁止の特約をすることが考えられます。

 また、物の製造・加工を請け負う場合、請負人が材料を供給するときにはその加工物の所有権は請負人に帰属しますが、注文者が供給したときは注文者に帰属します。注文者が材料を供給したときでも、それが一部にとどまる場合や工作によって生じる価値が高いときは請負人に帰属することがあるので、注文者としては、製造する際には注文者の材料のみを使用するとか、加工物の所有権は注文者に帰属する旨の条項を請負契約書に入れておいた方がよいでしょう。

 機械やシステムの保守を請け負う場合、または清掃等の作業を請け負う場合、請負契約書において、作業の内容や場所を網羅的に記載した方がよいです。その際には請負契約書の別紙で一覧表にした方が分かりやすいでしょう。

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