土地などを無償で借りることを使用貸借といいます。使用貸借契約では、無償であることから、期限が決められているときはその期限が来たとき、決められていないときは契約の目的が終了したとみられるときに契約が終了することになります。これに対し、改正後の民法では、契約の終了と解除の事由を区別しました。すなわち、当事者が使用貸借の期間を定めたときはその期間が満了することによって終了し、期間を定めなかったとしても使用と収益の目的を定めたときはその使用・収益を終えることによって、また借主の死亡によって契約が終了します。他方、貸主は、使用貸借の目的を定めたとしてもその目的に従い借主が使用・収益をするのに足りる期間を経過したときは契約の解除をすることができ、また、使用貸借の期間と目的を定めなかったときはいつでも契約の解除をすることができます。一方、借主はいつでも契約の解除をすることができます。
所有者以外の人が私道を通行するためには、通行できる権利が必要になりますので、通行目的での使用貸借契約をかわすことによって、通行権が認められることになります。ただ使用貸借というのは無償であるゆえに、改正後の民法では使用貸借の終了・解除事由が定められており、権利としては弱いのでご注意ください。
そのため、いくらかでもお金を払って賃貸借契約にするか、あるいは通行地役権を設定する方法があります。こうした方が、権利としては強くなります。
通行地役権とは、自分の土地(要役地)の利用価値を高めるために、他人の土地(承役地)を通行する権利です。
その私道を利用する人に通行地役権が認められると、承役地の所有者の意思だけで、勝手に私道を廃止したり変更したりすることはできなくなります。
この通行地役権は両者の契約で成立しますが、承役地の所有者に登記手続きの協力をしてもらうことが大切です。通行地役権を設定する登記をしなければ、承役地の土地を譲り受けた第三者がいる場合、その第三者に通行地役権を主張することはできません。
ただし、要役地の所有者が承役地を継続的に通路として使用していることが明らかであり、これを譲り受けた人が認識できた場合には、未登記でも対抗できるという最高裁判例があります。
なお、幅が1.8メートルしかない道路に接して建物を建てようとしても、道路幅が2メートルないと、建築許可が下りません。そんなケースで通行地役権を設定することがあります。
聞き慣れない法律用語が出てきていますし、通行地役権が認められるかどうかは一概に決めることはできません。弁護士が契約を結ぶ代理人になることもできますので、ご不明の点があればご相談ください。
また、通行権をめぐる訴訟や調停にも対応しますので、問題が発生したら資料をお持ちになって弁護士にご相談ください。