土地を買う際には、事前に前所有者に隣との境界を確定してもらっておく必要があります。
とはいえ、家と土地を買い引っ越してきたとき、隣との境界をめぐり近隣トラブルになる例はよくあります。
境界を示す標識がはっきりしないとしても、境界線上にくいがあり、2本のくいを結べばその線上が境界といえます。その土地を買ったときの売買契約書や実測図があれば客観的な資料になります。
くいや実測図だけでは境界がはっきりしないということなら、お互いの合意ができるまで話し合いをすることになります。話し合いを拒否することは得策とはいえません。話し合いをする際に、前の所有者と隣地の所有者とで地境に関して何らかの取り決めをしていたとしたら、それも参考にします。境界確定をしたら当事者の立ち会いのもとで再度測量して、境界協定書を作成し、隣地の所有者と共同の費用で境界標を打ちます。境界標の設置および保存の費用は相隣者が等しい割合で負担しますが、測量の費用は土地の広狭に応じて分担します。
話し合いがつかないときは、所有権を確認する裁判を求めることになります。
これとは別に、不動産登記簿上の境界を画定するために、筆界特定制度を利用することができます。これは法務局に申請して、筆界調査委員の意見や登記記録、土地や境界標の状況などをもとに筆界(または筆界の位置の範囲)を特定する手続きです。裁判所に境界画定の裁判を求めることもできます。
なお、境界が確定したとき、共同の費用で、その境界に囲障(塀)を設けることができます。囲障の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担します。
境界確定又は所有権確認の裁判をする際には、土地の売買契約書、登記簿謄本や図面(実測図、公図)、古い境界標や塀の基礎部分が残っていればその写真などをお持ちになり、ご相談ください。