建物の売買契約においては、目的物、引渡時期、所有権移転時期、代金額、支払の期限や支払方法などを建物売買契約書に記載します。
例えば、工場を売買する場合、工場の敷地や建物だけでなく、付帯設備や機械も売買するのであれば、建物売買契約書において、いずれの目的物も特定した上で、それぞれの代金額を決めます。
工場に抵当権などの担保権が設定されているときは、売主は代金完済時までにこれを抹消して、引き渡しをします。
買主としては、建物売買契約書において、代金完済時まで売主が工場を使用する場合、売主の責任で工場や設備・機械が毀損または滅失したときは売買契約を解除する旨の条項を入れておいた方がよいでしょう。
また、買主が売買代金の全部または一部について融資を受ける場合、融資が実行されないときは、手付金を返還してもらい、売買契約を白紙に戻すとの特約を建物売買契約書に入れるのが肝要です。逆に売主としては、この場合、手付金を放棄させるか、違約金(例:売買代金額の2割)を支払わせて売買契約を解除するとの条項を建物売買契約書に入れさせることが考えられます。
借地権付建物の売買をする場合、地主が新たに借地権を設定して自己所有の建物を売るとき、借地人所有の建物を買い取るときは、建物自体の対価と敷地の借地権の対価を売買代金とします。また、代金完済時までに借地権の譲渡を地主が承諾する旨の書面を買主に交付する義務を売主に課しておかなければなりません。
土地や建物の固定資産税等の負担時期を決める際は、通常、引渡日を基準とし、その前日までが売主、引渡日以降は買主の負担とします。