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安全配慮義務違反の損害賠償における債務者(使用者)の帰責事由

 過労死や労災事故をめぐる安全配慮義務については、民法上、債務者(使用者)の帰責事由が問題となります。  安全配慮義務の立証責任について、債権者である労働者側は、損害に対する特定された具体的安全配慮義務の存在と、使用者が同義務に違反した事実を立証しなければならないというのが最高裁判例です。  これに対し、使用者は、民法上、「契約その他の債務の発生原因及び取引通念に照らして債務者の責めに帰することが
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使用者の安全配慮義務

 安全配慮義務は、昭和50年に自衛隊員が事故死した事案で言い渡された最高裁判決により、特別な社会的接触の法律関係(労働契約も含まれます)に入った当事者間における信義則上の付随義務として認められました。この義務に違反した場合は債務不履行責任を負います。労働契約法5条はこの判例法理を明文化しました。  このことにより、企業が労働災害を発生させた場合、不法行為または債務不履行により損害賠償責任を負うこと
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パート社員の労働時間短縮と休業

 経営状況の悪化により業務量が減り、それに比べて従業員数が多いため、赤字が続いている場合、会社はパート社員の労働時間を短縮して人件費を減らすことができるでしょうか。  労働時間を短縮する代わりに雇用を維持しようとする目的があったとしても、労働時間の短縮をすると雇用通知書に記載した時間よりも短くなる場合、労働時間数の変更は労働契約の内容である労働条件を変更することになります。  労働条件の変更には労
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所定勤務時間終了後の業務日報作成と派遣先の指揮命令

 派遣社員が午前9時30分から午後5時30分まで勤務しており、退勤時に業務日報の提出を指示したところ、当日の業務は所定勤務時間内に終了できるのに、所定終業時刻後に業務日報を書き始めるため、毎日10分間の残業が継続している場合、派遣先会社は派遣社員に所定勤務時間内に業務日報を書き終えて提出するよう指示することができるでしょうか。  派遣社員は派遣先会社の指揮命令に従い就労しますので、派遣先会社は、派
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パワハラ防止法施行によるパワハラの事後対応と予防管理

 いわゆるパワハラ防止法が、中小企業においては2022年4月1日より施行されます。施行まで半年を切りましたので、まだ対策を講じていない中小企業においても準備を始めましょう。  パワハラ防止法は、事業主に対し、パワーハラスメントに関する相談体制の整備その他の雇用管理上の必要な措置を講じることを義務づけています。  パワハラ防止措置が義務化されると、各企業で防止対策を策定することになりますが、それにと
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配置転換を命じたら年休消化して退職

 ある従業員に支店への配転命令を発令したところ、当該従業員が、退職の意向を示し、退職日について、配転日の前日とすると年次有給休暇の残日数を消化できないことを理由に、年休消化が終了した日に退職すると申し出てきた場合、会社はどのように対処したらよいのでしょうか。  まずは配転命令を発令した当該従業員に退職日を定めた退職届を提出させた方がよいです。  退職日を確定した上で、業務引継なども踏まえ、事業の正
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労働契約の変更をめぐる労働者側同意の要否

 民法は、契約等によって発生・変動・消滅する権利義務関係の要件と効果を定めています。民法には雇用を定めた節が設けられていますが、労働契約も契約である以上、労務管理など労働相談を受ける場合も契約の観念を意識した方がよいでしょう。  就業規則は「会社の法律だ」という意見がありますが、これは一面として間違っていないものの、現在は労働契約法に就業規則が規律されていることからすれば、就業規則は労働契約書とも
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試用期間中の解雇や本採用拒否ができる場合

 中途採用して試用中の従業員が業務上のスキルがなく、職場での人間関係も悪い場合、試用期間中に解雇したり、期間満了時に本採用拒否したりすることはできるのでしょうか。  試用期間中は、当初から期間の定めのない労働契約が成立していますが、使用者に労働者の不適格性を理由とする解約権が留保されています。  解約権を留保していることが本採用後の解雇との違いとなりますが、試用期間内の労働契約終了に関しては、期間
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就業規則に定めがない試用期間の延長

 就業規則上、試用期間が3か月間と定められているものの、試用を延長する規定がない場合、試用期間を延長することはできるのでしょうか。  就業規則は労働契約の内容になります。試用期間についても就業規則に定められていれば労働契約の内容になっています。  試用期間が3か月で、試用延長の規定がなければ、本採用拒否の意思表示をしないまま試用期間が経過すると、労働契約上、会社が本採用したことになります。この場合
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業務に関するSNS投稿の禁止と懲戒

 従業員が取引先の製品の写真や社内で撮影した写真をSNSに投稿していたとき、投稿自体を禁止し、これに違反した場合に懲戒処分を課すことはできるでしょうか。  取引先の製品や社内を撮影した写真をSNSに投稿すると、取引先より守秘義務違反を問われる可能性があるので、これを慎むよう従業員に指導した方がよいです。  ただ、従業員に懲戒処分を課すには明文規定が必要です。そのため、まずは就業規則の服務規律に次の
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