パワーハラスメントは、職場において行われる優越的な関係を背景とし、業務上必要かつ相当な範囲を超えることにより、雇用する労働者の就業環境が害される言動と定義されています。
行為類型は次の6つです。
- 身体的な攻撃(暴行、傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、暴言)
- 人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視)
- 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
- 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
- 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
パワーハラスメント防止対策は次の手順で実行することが望まれます。
第1に、組織のトップがパワハラをなくすとのメッセージを表明すること。
第2に、就業規則にパワハラ防止の規定を設け、予防・解決に関するルールを決めること。
第3に、アンケートを実施するなどして実態を把握すること。
第4に、労働者への教育研修を実施すること。
第5に、組織の方針や活動について周知・啓発すること。
第6に、組織内・外に相談窓口を設置して責任者を決め、外部の専門家と連携すること。
第7に、行為者に対する再発防止研修を行うなど再発防止策を立案、実施すること。
パワハラに関する相談体制の整備などの雇用管理上の措置を講じることが法律上義務づけられ、また、労働者に対する言動に必要な注意を払うことや、労働者の関心と理解を深めるよう研修の実施などの必要な配慮をする努力義務が課されています。カスタマーハラスメントも同様です。
ハラスメントを理由とした損害賠償請求訴訟では、企業だけでなく、役員や管理職も被告とされることが多いです。企業が安全配慮義務を履行し、職場環境を改善することにより、パワハラ・カスハラを防止しましょう。