営業部門を設置する際に留意すべき点は?

 中小企業は機能別組織を採用することが多いですが、例えば営業は社長が担っており、営業部門がないというケースも少なくありません。しかし、営業所網を拡大して既存顧客層への浸透を図ることで売上高を増加させるという経営戦略を採用する場合、採算の見込める地域を選定して営業所を開設することが組織的な課題となります。この場合、営業部門を設置して営業所を統括する体制を構築する必要があります。

 では、中小企業でも専門部署を設置した方がよいのでしょうか。

 機能別組織のメリットとして、業務の標準化を進めやすい、組織全体として知識を体系的かつ継続的に蓄積しやすい、分業により各職能の熟練が形成されて業務の専門性を高められる、業務を集中した規模の経済性により業務処理コストを低下させやすいことなどが挙げられます。例えば、営業部門を設置すると、営業に関する業務の標準化を進めやすいこと、営業の専門性を高められ、知識を体系的かつ継続的に蓄積しやすいといったメリットを享受できるのです。

 しかし、部署の新設により経営資源が分散する、営業部門と他部門との連携や情報共有がなされない、経営トップの負荷が大きくなる、迅速な意思決定ができないことなどのデメリットがあります。

 このデメリットを解消するため、▽部門間の計画的な配置転換を実施して人的・情報的資源を多重利用する、▽コミュニケーションの円滑化や情報共有により部門間の交流を促進する、▽各部門長に権限を委譲するなどの対応策を講じます。

 ところで、営業所の開設に当たっては、地域によって異なる需要動向や開設・運営費用を事前に調査し、計画に基づいて段階的に進めていくことが肝要です。新規製品の開発や新規市場への進出という経営戦略においても同様です。

 計画策定に当たっては、売上高や利益の増加、変動費と固定費の費用構造、固定資産への投資規模、借入金の有無と金額など財務的な観点も含めて総合的に判断します。特に営業所を新設し、所長となる管理職や営業を担当する従業員を新規雇用すると、この組織管理を行うとともに、固定費である人件費が増加するため損益分岐点分析をします。また、定量的・定性的な撤退基準を事前にも設定しておくことも必要です。

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