従業員のモチベーションを向上させる施策とは?

 従業員のモチベーションを高めることにより、定着率やサービスレベルを向上させることができます。

 まず経営者が取り組むべきは、自社の経営理念を策定して社会の利益との融合を図ることです。このことを従業員に十分に説明し、経営理念の浸透と社会的使命感の向上を図ります。従業員とのコミュニケーションにより、共通目的の認識や貢献意欲の醸成をすることが、従業員のモチベーションを引き出すのです。

 人事施策としては、▽権限委譲をする、▽業務遂行の自由裁量を付与して自己決定意識を高める、▽計画的な配置転換を実施する、▽自主性や主体的な取組みを公正に人事評価する制度を構築することなどが挙げられます。特に評価制度については、評価者が適正に評価を行えるよう複数人による評価を行う、評価項目に偏りがなく、実際の業務に即したものにする、評価基準を客観的にする、評価方法を公平にして他の従業員と比較できるようにすることに留意します。

 また、従業員のチャレンジ精神を向上させるために社内提案制度を導入することも考えられます。例えば、開発部門において、提案活動そのものを評価し、各担当者の提案の内容・件数や新規製品開発の進捗状況を開示することにより、開発部門全体での提案を増加させるのです。社内提案制度を運用する際には、異業種との提携推進など提案のテーマを絞る、試行錯誤を促す人事評価制度をセットで導入し、提案の有無や内容を昇進や昇格に直接結び付けない、制度趣旨を従業員に理解されるまで説明し、直属の上司を介さずに応募できるようにすることに留意します。

 これらの施策が実効的であるためには、社内教育や外部研修、資格取得の奨励など能力開発の施策も併せて積極的に実施することが肝要です。

 その結果、従業員満足度の上昇→ロイヤルティのある従業員の増加→定着率の上昇+自主的なサービスの工夫やサービスレベル・技術力の向上との因果関係を辿ります。離職率が低くくなると、採用や教育にかかるコストを削減することができます。

 サービスレベルの向上により、顧客満足度の上昇→ロイヤルティ(愛顧)のある顧客の増加→固定客化によるリピート回数の増加や客単価の上昇(関連購買、1回当たり買上点数の増加)、口コミによる新規顧客の獲得というサービス・プロフィット・チェーンの期待効果を得られます。さらに、リピート客や口コミによる紹介客を獲得することにより広告宣伝費が抑えられ、利益率が上昇するのです。

 以上の施策の期待効果は、人口減少や高齢化社会により正社員の採用が困難になる中で、パートタイム従業員の正社員登用制度を導入する際にも得られます。

 人的資源管理策を総合的に見直してモチベーションの向上に繋げることが、継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)となるでしょう。

中小企業の経営組織に関するその他のQ&A


法律相談をご希望の方へ 労働問題に特化して25年の実績と信頼。弁護士 佐久間 大輔にご相談ください。 電話番号 03-3500-5300 受付時間:平日 9:00~18:00 赤坂見附駅(銀座線・丸ノ内線) 徒歩3分 永田町駅(半蔵門線・有楽町線・南北線) 徒歩5分