会社の懇親会に参加した新入社員に対し、別の職場の先輩社員が19歳と知らずに酒を飲ませたら、法律上罰せられることになるのでしょうか。この場合、会社として、先輩社員を懲戒した方がよいのでしょうか。
前提として、未成年者飲酒禁止法は、飲酒年齢を20歳と定めており、19歳も未成年となります。未成年者喫煙禁止法も同じです。民法は成人年齢が18歳であると定めていますが、飲酒や喫煙は別の成年年齢であることに留意してください。
そこで、以下では、未成年を20歳未満の者をいいます。
未成年者飲酒禁止法は、営業者が、未成年者が飲むことを知って酒類を販売または供与した場合に罰金刑に処すと規定しています。そのため、会社の懇親会において、営業者でない先輩社員が未成年の新入社員に酒類を供与したとしても、刑罰が科されることはありません。
これに対し、会社が懲戒処分を課すかどうかは刑罰とは別の問題となります。会社が懲戒処分を課す場合、就業規則に懲戒事由が定められていなければなりません。
まず事業場で飲酒することを禁止し、この違反を懲戒事由としている就業規則は多いので、事業場内での飲酒であれば、仮に先輩社員が飲酒していなくても、他の社員に飲酒させたのであれば、懲戒事由に該当する可能性があります。
一方、事業場外で未成年者に飲酒させることは企業秩序を乱す行為に当たるかどうかが問題となります。未成年である社員や取引先等の従業員に飲酒させることは企業秩序違反となり得るので、就業規則に規定があれば懲戒処分の対象とすることはできます。
ただし、先輩社員が未成年であることを知らなかったとすれば、いきなり懲戒処分を課すのではなく、まずは厳重注意をすることとし、今後同様の行為を繰り返すようであれば懲戒すると警告することにとどめることは考えられます。
また、管理職が、先輩社員が未成年の高卒社員に飲酒させていることを知っていたのに、これを黙認した場合は懲戒することが考えられますが、この点も就業規則に定めておくことが必要です。
いずれも規定がないのであれば懲戒することはできませんので、厳重注意をすることになります。
就業規則の懲戒事由に追加するのであれば、社員に周知するとともに、事業場内での飲酒や未成年の飲酒を厳禁にすることを教育しましょう。