クレーム対応の基本理念

 商品に欠陥があったなどの企業に対するクレームは、それが口コミやインターネット上で広まると、▽買い控えが起きて企業が経済的損失を被る、▽クレーム対応に時間と労力が費やされると本来の営業がおろそかになって売上高が減少する、▽企業のイメージダウンになると、顧客、取引先、金融機関等ステークホルダーの信用低下につながるなどの弊害があります。

商品の販売は1回の売買契約かもしれませんが、企業や商品を信頼したからこそ、顧客は購入したのであり、商品に欠陥があったというクレームは企業との信頼関係が損なわれたから生じるものです。

 そのため、クレームが発生した段階でも、顧客との信頼関係を維持または回復するため、顧客との「信頼」を基礎としたクレーム対応をすることが重要です。この基本理念のもとに誠実なクレーム対応をすれば、紛争の発生や長期化というリスクを減らすことができます。信頼を取り戻すこともできるでしょうし、クレーム対応に要する費用も減らすことができるので、企業の収益に結びつきます。

 そこで、まず企業の経営者がクレーム対応の基本理念を打ち出すことが重要であり、これにより従業員が一貫した対応を取ることができるようになります。逆に一貫性のない対応をすると、信頼を取り戻すどころか、企業の対応に関する二次クレームが発生します。

 商売において「顧客が第一」の姿勢を貫くことは必要ですし、クレーム対応でも同様です。クレーマーであっても、その人自体をリスクとは捉えず、人格を持った人間として信頼する-この「信頼」を基礎にしたクレーム対応が必要となります。

 だからといって、クレーマーの要求を全て受け入れるということではなく、「信頼」を基礎にしたクレーム対応という基本理念のもとに商品の欠陥などの調査や解決方針等の検討を迅速かつ適切に行いつつ、悪質なクレームに対しては毅然とした態度がとることが必要になります。「顧客至上主義」にも例外はあるのです。この見極めをすることが、一般の顧客に対する信頼にもつながるでしょう。

 そして、この両面のバランスを取った基本理念をトップマネジメントが内外に表明することが重要となります。

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