クレームが発生したら顧客の話を傾聴するとはいえ、担当者といえどもクレームを聞きたいわけではないでしょう。だからといって、クレームを放置していても解決するわけではありません。消極的なクレーム対応が顧客に伝わると、二次クレームが発生します。
そのため、担当者としては積極的にクレームと向き合わなければなりません。そうでないと、顧客から適切なヒアリングができず、顧客の真意を測ることができなくなります。真意や事実の認識に誤りがあると解決方針を見誤るばかりでなく、適時に商品の交換や改修ができず、結果的に顧客の不満が増大することになります。
初動において、顧客の真意を汲み取りつつ、早期に事実の確認、商品の検査や原因の調査を開始すべきです。顧客から「現場に来い」と言われたら、これをすぐに拒否するのではなく、すぐに駆けつけて現場検証をすることを検討した方がよいです。また、顧客だけでなく、商品の製造や販売の担当者・責任者に事情聴取をしましょう。
なお、クレームを述べた相手が被害を受けた本人とは限りません。本人が買った商品に欠陥があったのか、それとも同居している家族のものなのかは最低限確認するようにしてください。また、相手の氏名や連絡先を聞いておくことも基本的なヒアリング事項です。
調査の結果が出たら顧客に対して早期に報告すべきです。決して事実の隠蔽や虚偽報告をしてはなりません。報告する際には電話を掛けるだけでなく、まず電話で概要を説明した上で書面を送付した方が、紛争となった場合に証拠にもなります。
特に顧客が身体的な被害を受けたり、精神的なストレスを受けたりした場合、顧客は何が原因であったのかを知りたいという気持ちが強くなります。それなのに調査拒否をすると感情悪化につながりますし、調査をしても不十分な結果では不満が募り、二次クレームが発生します。
適切な対応をすればいつかは解決することができます。このことを念頭にクレームには初期から迅速に対応することが肝要です。初動が遅れると、解決に時間がかかることになりますし、対応の遅延自体が二次クレームとなるおそれがありますので、留意してください。