クレーム対応で「謝ったら負け」か?

 交通事故では、「謝ったら負け」で、陳謝した方が損害賠償責任を負うとよく言われることがあります。加害者が損害保険会社からこのように言われて被害者に謝りにも行かないので、被害感情が悪化し、被害者の姿勢がかたくなになり、解決が長引くといった場面を目にします。

 交通事故といった契約関係がない場合でも、弁護士としては「謝ったら負け」という態度は適切でないと考えていますが、商品の販売やサービスの提供では顧客との間に契約関係があるのですから、なおさら謝らないという態度はクレーム対応として不適切です。

 もちろん何のクレームでも陳謝すればよいということではなく、まずは初期対応を迅速に行うことが重要です。初期対応としては、早期に商品の保全や関係者の事情聴取を行う、窓口を一本化する、適時に顧客側に連絡を取ることが必要です。

 この段階で、顧客に不快な思いをさせたことや迷惑・不便を掛けたこと、初期対応が遅れたこと、説明に行き違いがあったことについて陳謝することを躊躇しない方がよいです。陳謝したからといって法的な責任が直ちに発生するというわけではありません。法的責任の有無から理詰めで対応すると、顧客の感情を害することになります。むしろ企業の社会的責任の観点からも、陳謝すべき内容を明確にした上で陳謝した方が、顧客側の感情を和らげることになるでしょう。

 ただし、顧客であっても、「社長が謝罪しろ」、「自宅まで詫びに来い」といった要求は、顧客の全てに行うクレーム対応とは認められませんので、もはや悪質と位置付け、毅然とした態度で断ってください。不相当な要求を続ける場合は法的手続を講じると書面で回答したり、弁護士に相談している旨を伝えたりすれば、トーンダウンすることもあります。

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