クレーム対応におけるクレーマーの見極め

 クレーム対応をする場合は、クレームの内容・根拠が相当か、顧客の態様が相当かをまず見極め、毅然とした対応をとることが重要です。

 顧客のクレームを受けたとき、担当者としては、商品の些細な欠点を針小棒大に取り上げて難癖を付けたり、欠陥を明らかにしないまま金品を要求してきたりする態様が不相当なクレームほど、そのクレームが拡散するとまずいとか、クレーム対応に時間や労力を割けないといった理由からクレームの全てを聞き入れたくなります。また、クレームの全部受容は、現在進行中のクレームを解決できることになり、一時しのぎにはなり得ます。

 しかし、クレームを述べてきた顧客に対して一律の対応をすることは禁物です。内容や太陽が不相当であるクレームについては、これを解決しても企業にとって不利であり、中長期的には企業の信用、収益の面でマイナスです。一度クレーマーの言いなりになると、再度のクレームにも同様の対応をしなければならなくなりますし、別のクレーマーにも同じく要求の全てを聞き入れなければならなくなり、悪循環に陥ります。

 しかも、クレーマーの要求を全部受け入れた解決内容がインターネット上で拡散されれば、さらなるクレームを誘発することになり、長期的には企業の損失を拡大するだけですし、商品の開発や管理といった技術面での向上がなくなり、「顧客が第一」の姿勢を貫かれなくなってしまいます。

 これに対し、商品の欠陥や改善点、サービスの問題点など、内容や根拠が相当なクレームに対して真摯に対応することは、企業の商品開発や技術開発に資することになりますし、顧客との侵害関係を維持することにつながります。

 したがって、クレームが入ったときには、すぐにクレーマーかどうかのレッテルを貼って突き放すのではなく、まずはクレームを述べてきた顧客を信頼し、冷静に耳を傾けるべきです。

企業としては、従業員教育をして、不適切なクレーム対応をすることが結果として顧客との信頼関係を損なうことを理解させることが必要です。担当者の人事異動や退職により業務の引き継ぎがうまくなされるよう記録を残すようにしておくことも重要です。

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