パワーハラスメントが発生したとき、人事労務管理スタッフが知っておくべき実務ポイントは何でしょうか?
 パワハラ発生時は、通報後20日以内に調査開始を通知することが望ましいです。調査では、証拠保全と被害者への丁寧なヒアリングの実施、関係者の聴取では先入観を排することが肝要です。難しい場合は、弁護士に助言を受けるか、依頼をすることが考えられます。被害者に結果を説明する際は、個人情報の保護に配慮すること。被害者から再調査を求められても、新証拠がなければ応じる必要はありません。

解説:パワハラ発生時の初動対応と調査手順

 いざパワーハラスメントが発生したとき、どのように対応するのかが重要となります。

 パワハラの申告があったら、早期に事実調査を開始することが必須です。公益通報者保護法は、外部公益通報を理由とした解雇を無効とする要件として、使用者に対して書面(電磁的記録を含む)により内部公益通報をした日から20日を経過しても使用者から調査を行う旨の通知がない場合を定めています。この規定により、使用者に調査開始義務が課されるわけではありませんが、電子メール等で通報がなされた日から20日以内に少なくとも調査開始の通知をすると、被害感情を和らげて二次クレームを防止することになるでしょう。

 まず、被害者の心身の状況やパワハラが行われた際の受け止めも踏まえつつ、被害者からヒアリングをします。ヒアリングの際には、先入観を持たず、丁寧に、粘り強く話を聴くことを心がけます。被害者側に問題行動があった場合、自らを省みるよう指導することは必要ですが、それに終始すると継続的に相談する意欲を失ってしまいます。話を聴くことを優先し、被害者に対する指導は調査終了後に行うことが望ましいです。

 被害者からの話をもとに、パワハラが行われた現場を検証したり、パワハラを裏付ける証拠(被害者の手帳、録音、電子メール、写真等)を保全したりするなど物証を確保します。

 被害者からの聴取だけで、パワハラの有無を即断するのではなく、パワハラをしたと訴えられた同僚や加害者など関係者のヒアリングをします。

 加害者をヒアリングする際は、加害の事実がある場合であっても、加害者が事実を否認する、虚偽の供述をする、自己を正当化することがあることを想定しておきます。このような態度を取ったら、パワハラ防止の趣旨を説明するほか、調査に協力するよう説諭します。自白を強要すべきではありませんが、説諭しても加害者が応じない場合はヒアリングを延期し、一定の期間を空けた上で再度聴取を実施します。

 そして、被害者の主張する事実が同僚など第三者の証言を含む証拠に裏付けられるかを評価して、事実認定を試みます。しかし、必ずしも物証や証言が十分に揃うわけではなく、事実認定は難しいので、弁護士に助言を受けるか、または依頼をすることが考えられます。

 調査終了後に、被害者に対し、事実調査の結果や懲戒処分などの対応を説明します。パワハラとまでは評価できないものの、その程度には至らない不適切な言動が認められるのであれば、その言動に対する改善策を実施した上で、これも説明します。ただし、その内容は、関係者の個人情報保護の観点から慎重に検討しましょう。

 仮に通報者や被害者から再調査を求められたとしても、新証拠がないのであればこれに応じる必要はありません。

 

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