マンションの居室を賃貸したところ、賃貸借契約書でペットの飼育を禁じていたのに、借家人が犬を飼い始め、その犬の臭気がひどく、吠えてうるさいという場合、賃貸借契約を解除して退去してもらうことはできるでしょうか。
マンションでもペットを飼うことを希望する人が増えていますが、ペットを飼うと、建物が汚れたり、においがしたり、鳴き声がうるさかったりしますので、賃貸借契約でペットの飼育を禁止することは認められています。
ただし、禁止されているのにペットを飼ったから直ちに賃貸借契約を解除できるかというと、そうではありません。
ペットを飼ったとしても建物の汚損や臭気、騒音が出ない場合もありますし、近隣の居住者からもクレームが来ておらず、賃貸借契約時に大家からペット禁止条項があるといっても迷惑がかからないのであればよいと述べていたとか、また大家から飼育の中止を求めたらこれに従ったというのであれば、借家人との信頼関係は破壊されていないとして、賃貸借契約の解除は認められないでしょう。
逆に言えば、犬の臭いがひどく、吠えてうるさいので、近隣の居住者からクレームが来ており、大家がそれを伝えて犬を飼うのを中止するよう申し入れたのに、借家人がこれを聞き入れないのであれば、賃貸借契約の解除が認められることになります。
大家としては、手数がかかっても、飼育の中止を申し入れておくということが肝要です。その際には書面での申し入れをお勧めします。口頭では、「言った、言わない」の争いになってしまうおそれがあります。
借家人が任意に退去しない場合には明け渡しの裁判を起こすことになりますので、居室の登記簿謄本、賃貸借契約書などをお持ちになり、ご相談ください。