専ら事業の用に供する建物の所有を目的として土地を賃貸借するときは、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がなく、賃借人の建物買取請求権がない旨の合意をして、事業用定期借地権を設定することがあります。
この場合、土地賃貸借契約書(事業用定期借地権設定契約書)を作成するのですが、これは公正証書によらなければなりません。ですから、最初に覚書を作成して借地条件を確定させた上で、公証役場で公正証書を作成します。
土地賃貸借契約書には、事業内容を詳しく記載し、居住の用に供する建物の建築と居住目的での建物使用を禁止します。
事業用定期借地権の存続期間は10年以上50年未満の範囲内で定めます。
借地人としては、土地賃貸借契約書に中途解約を認める条項も入れると事情変更による撤退に柔軟に対応できます。理由なく中途解約されるのは地主にとって不利なので、建物が滅失または毀損して事業の用に供することができなくなったときに限定することが考えられます。また、地主に賃借権譲渡や転貸をあらかじめ承諾してもらうことも考えられます。
一方、地主としては、土地賃貸借契約書において、中途解約や賃借権譲渡・転貸を禁止するか、中途解約を認めるとしても、一定期間の経過を解約権行使の要件にするとか、違約金を支払うことを条件にすることが考えられます。賃借権譲渡・転貸の承諾料についても、土地賃貸借契約書に定めておきましょう。地主は、中途解約と引き替えに、賃料や敷金の額を上げる、権利金を要求するなど他の借地条件を有利にするよう交渉した方がよいでしょう。
地主がこのような要求をしてくるのであれば、借地人としては、土地賃貸借契約書において、中途解約条項ではなく、建物の滅失・毀損等の事情変更が生じた場合に中途解約に向けた協議に応じる義務を地主が負う旨の条項を代わりに入れることが考えられます。