製品の企画担当者が社内プレゼンテーションにおいて、競合他社のウェブサイトから製品の写真をダウンロードし、プレゼン資料にコピー・アンド・ペーストして利用することはできるのでしょうか。
まず、競合他社の製品の写真が著作物に当たるかについて、被写体、機材、撮影方法、撮影技法の選択に独自の創意と工夫がなされていれば、製品を撮影したものであっても著作物に当たります。
著作物に当たるとしても、社内での使用であるから著作権法上許されるかというと、そうではありません。
著作権法は私的使用のための複製を禁じていませんが、例えば個人がレンタルショップで趣味の音楽CDを借りてダビングするような場合など、個人的または家庭内での複製に限られています。
したがって、会社内で業務上使用するために著作物を複製することは、個人的使用とはいえませんから、著作物性が認められる製品の写真をコピーすることは著作権者が有する複製権を侵害したことになります。
また、コピーした製品の写真を不特定または多数の顧客に電子メールで送信した場合はもちろん、社内ネットワークでアクセス可能な状態に置いた場合であっても、著作権者が有する公衆送信権を侵害したことになります。著作権法上の「公衆」には、特定かつ多数の者を含みますので、社内という特定の範囲であっても多数の従業員がアクセスできるのでしたら、公衆送信権侵害となるのです。
したがって、著作物である写真の複製そのものを辞めた方がよいでしょう。
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