同業他社から商標使用差止め請求がなされた場合の対応

 同業他社甲社より、甲社が4年前に登録した商標Xについて、当社の使用している商標Yが商標Xの商標権を侵害していることを理由に商標Yの使用を中止するよう請求する旨の通知書が届いた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

 第1に、商標権は設定の登録により発生します。そこで、甲社が商標Xを登録しているかどうかを商標原簿で調査します。商標原簿への登録がなされていなければ、商標Xには商標権がありませんので、甲社は商標権に基づく商標Yの使用差止めを請求することはできません。

 第2に、商標Xに商標登録の要件を欠いたり、商標登録を受けることができない商標を使用したりしている場合、当社は、利害関係人として商標登録を無効にすることについて審判を請求することができます。登録要件の不充足や不登録事由の存在を理由として商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、商標権は初めから存在しなかったものとみなされます。そこで、商標Xが商標登録の要件を充足しているか、または不登録事由が存在するかを調査します。なお、利害関係人でなくても、商標掲載公報の発行日から2か月以内に特許庁長官に対し登録要件の不充足や不登録事由の存在を理由として登録異議の申立てをすることができます。審判官の商標登録を取り消すべき旨の決定が確定したときは、商標権は初めから存在しなかったものとみなされます。しかし、商標Xについては4年前に登録されており、申立期間が経過していますので、当社が登録異議の申立てをすることはできません。

 第3に、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが各指定商品または指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができます。審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は審判請求の登録日に消滅したものとみなされます。そこで、商標権者である甲社(またはその専用使用権者や通常使用権者)が商標Xの指定商品について継続して3年以上使用していないかどうかを調査します。

 第4に、商標権の効力について、特許庁に対し、判定を求めることができます。そこで、商標Xが商標登録の要件を充足し、不登録事由が存在せず、また継続して3年以上日本国内において使用されていたとしても、商標Yが商標Xの商標権の効力の範囲内に含まれるかどうかについて調査します。

 上記のいずれかに該当する場合は、その旨を甲社に対して文書で反論することになります。これに対し、商標Xの商標登録が有効であり、商標Yが商標Xの商標権の効力の範囲内に含まれる場合は、甲社の登録商標Xと同一または類似の商品について商標Yの使用を中止しなければなりません。

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