動画投稿サイトに自社制作映像が無断で投稿されたら、どうすればよいのでしょうか。
会社が当該動画の著作権を有しているのでしたら、動画投稿サイトに無断で投稿行為は、複製権や公衆送信権を侵害することになります。そこで、投稿者に対し、投稿の差止めおよび損害賠償を請求することになります。
しかし、投稿の差止めについては、動画投稿サイト運営者に対して請求できた方が実効性があります。
この点につき、最高裁判例は、カラオケ装置を設置したスナック経営者が日本音楽著作権協会の許諾を得ないで、ホステスや客にカラオケ伴奏により経営者の管理にかかる楽曲を歌唱させることは、当該音楽についての演奏権を侵害するものであり、当該演奏の主体として演奏権侵害の不法行為責任を免れないと判断しました。
この最高裁判例と同様に考えると、動画投稿サイト運営者が、経済的利益を得るために、その支配管理するサイトにおいて、ユーザーの複製を誘引し、実際にサーバーに複製権を侵害する動画が多数投稿されることを認識しながら、侵害防止措置を講じることなくこれを容認し、蔵置する行為は、ユーザーによる複製を利用して、自ら複製を行ったとして、複製権侵害となりますし、サーバーに蔵置した動画ファイルを送信可能化して閲覧の機会を提供しているとして、公衆送信権侵害となります。
動画投稿サイトへの無断投稿を発見したら、早めに法的措置を講じた方がよいでしょう。
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