漫画に登場するキャラクターや、このフィギュアを改変した画像をコンピュータグラフィックスで制作して商用利用することはできるのでしょうか。
著作権法上の著作物とは、思想または感情を創作的に表現した美術等をいいます。
漫画のキャラクターは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想または感情を創作的に表現したものということはできません。そのため、漫画の具体的な表現を離れたキャラクター自体は著作権法上の著作物ではありません。他方、キャラクターが描かれた漫画は著作物に当たります。その漫画の各場面に実際に描かれたキャラクターには創作性が認められ、著作物性が肯定されます。そのキャラクターの具体的な表現を複製または翻案すれば著作権(複製権、翻案権)を侵害します。
創作性の判断基準は、個性が現れているか、他の選択肢があり得るか、です。コンピュータグラフィックスで制作した画像が、制作者の個性や独創性が表現され、漫画の具体的な場面に依拠せず、元のキャラクターと認識できない程度に改変したのであれば、複製権や翻案権を侵害しません。
また、キャラクターの人物像を本来ならばあり得ない程度に改変し、他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴を維持しつつ、その外面的な表現形式に改変を加えると、著作者人格権(同一性保持権)を侵害します。これに対し、他人の著作物を素材として利用しても、その表現形式上の本質的な特徴を感得させないような態様においてこれを利用するのであれば、同一性保持権も侵害しません。
したがって、▽漫画の具体的な場面に依拠しない、▽制作者の思想または感情を創作的に表現されている、▽キャラクターの表現形式上の本質的な特徴を感得させない態様であるとの要件を満たす画像を制作するのであれば商用利用は可能です。
次に、漫画に登場するキャラクターのフィギュアについては、一定の美的感覚を備えた一般人を基準にして純粋美術と同視し得る程度の創作性を備えている場合に美術の著作物として保護されます。そのため、フィギュアの著作物性が認められる場合、上記の各要件を満たす画像を制作するのであれば商用利用は可能です。
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