同業他社に対する類似商号の差止め請求

 同業他社が類似した商号を使用している場合、その使用を差し止めることはできるのでしょうか。

 会社法は、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある商号を使用することを禁止しています。不正の目的をもった商号の使用によって、営業上の利益を侵害される会社は、その侵害の停止を請求することができます。

 同業他社に不正の目的がある場合、商号使用の差止めを請求することができます。

 一方、不正競争防止法は、他人の商号として需要者の間に広く認識されているものと同一または類似の商号を使用して他人の営業と混同を生じさせる行為、または自己の商号として他人の著名な商号と同一または類似のものを使用する行為を不正競争として禁止しています。不正競争によって営業上の利益を侵害される企業は、その侵害の停止を請求することができます。これに加え、損害賠償や信用回復措置の請求をすることもできます。

不正競争に当たるかどうかは、使用された自己の商号が、混同惹起行為であれば周知性、また著名表示冒用行為であれば著名性が認められるかどうかが問題となります。周知は都道府県レベル、著名は全国レベルで、消費者が自己の商号であると認識していなければなりません。

 自己の商号の認知度が全国区であれば商号使用の差止めを請求することができます。著名性はないが、周知性はあるという場合で、自社も同業他社も東京都内、すなわち同一の都道府県内で営業しているという場合で、同業他社の商号使用が自社の営業と混同を生じさせるのであれば、差止め請求をすることができます。これに対し、使用された自己の商号に周知性があるとしても、仮に自社の営業地域が北海道にあり、同業他社の営業地域が沖縄県にあるという場合は、消費者に混同を生じさせるとまではいえないでしょう。

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