外部資源を活用して自社ブランド製品を販売するには?

 自社ブランドの最終製品を開発・製造するには、経営資源をコア技術に集中させるため、外部資源を活用します。

 活用方法の一つとして、新規製品を他の企業と共同開発することが考えられます。その方が、開発費用の負担が少なくなり、開発・製造に必要な技術や知識を互いに習得でき、製品ライフサイクルが短くなる中で迅速に製品開発を進めることができるからです。外部資源との共同開発をすることによる人材交流は新たな組織学習の機会となり、組織を活性化することにも繋がります。

 ただし、共同開発に当たっては、▽自社のノウハウや技術が外部に漏洩することを防止するために秘密保持契約を締結する、▽開発した技術や特許について、権利の帰属、専用使用権の内容、利益の分配を事前に決める、▽費用負担の割合や開発中止の判断基準を事前に決めるといった対策を講じた方がよいでしょう。

また、提携先の製造ノウハウや販売チャネルを獲得し、自社資源を中核機能に集中させることが考えられます。要はアウトソーシングするということですが、これにより外部資源の専門性を活用することができます。

 特に内製ではなく、製造工程の一部または全部を外注する場合は、外注先の方が、品質(Q)が高く、価格(C)が安く、納期(D)が早いという観点だけでなく、自社にはない専門技術を必要とし、かつ自社でその技術を新たに身に付けることは困難であるか、自社の生産設備で生産できず、かつ設備を新たに導入しないか、販売見通しの不確実性に伴うリスクが高いか等の観点から、外注の当否、外注の内容と量、外注先を総合的に判断します。外注に依存すると、製品開発など自社にとって重要な機能に対するコントロールを喪失する、製品ノウハウ等の情報漏洩が起こるといったリスクがあるので、慎重な判断が必要です。

 自社が開発・製造に特化する一方、販売を委託することにより提携先の販売チャネルを活用することも考えられます。その際には、最終ユーザーである顧客の潜在ニーズを捉えるため、提携先の営業担当者に同行するなどして顧客の声を積極的に収集し、顧客の課題解決を提案できる製品を開発します。顧客の要求水準や求める技術水準も把握し、これに対応するための製品開発力を強化することも必要です。

 留意すべきは、外注依存度が上がると、委託費用も上がり収益性が下がる、業務全体の効率性や速度が下がる、委託業務のノウハウを蓄積できないといったデメリットがあることです。これでは自社ブランド製品を事業展開する組織能力が低下してしまうので、バリューチェーン分析をして自社がサプライチェーンのどこまでを担うかを検討します。

 ところで、提携先に知名度がある場合、共同開発や共同販売をするにとどまらず、コ・ブランディング戦略を採ることも考えられます。メリットとして、製品開発ノウハウを補完できる、品揃えを拡充できる、提携先のブランド認知やブランドイメージを活用して新規顧客を獲得できる、コ・ブランド化により口コミを誘発できる、提携先の販売チャネルを活用して商圏を拡大できることが挙げられます。この場合、他社との業務提携の経験がないために業務負担が過大となる可能性があるので、経営資源の分散を回避することが課題となります。

 このように戦略的提携により協力関係を強化・継続し、提携先と情報共有をして、新規の需要を創造することが肝要です。

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