現在はアプリを利用して簡易にオンライン販売を開始することができます。しかし、自社の技術や原材料の魅力が伝わりにくい、製品アイテムを拡大すると多品種少量生産となり経営効率が低下する、特に生鮮食品は顧客に届けられるまでに鮮度や風味が落ちて品質が低下するなどのデメリットがあります。
これに対し、直営店舗での販売においては、経営面として、自社の考えで店舗運営をできる、自社の戦略を迅速に店舗運営に反映できる、自社のブランドイメージを育成できるといったメリットがあります。
しかも、直営店舗では、店員と顧客が双方向のコミュニケーションができるので、販売面として、店舗は、顧客に対し、製品の機能や品質(製品価値)、それ以外の価値(観念価値、情緒的価値)を訴求できます。
一方、開発面として、顧客より、その嗜好や潜在ニーズを直接収集して、新規製品の開発や既存製品の改良、サービスの向上に活かすことができます。そこで、開発部門の従業員を店舗に配置し、顧客からの情報を直接収集して、最新のトレンドを踏まえた新規製品を開発することも考えられます。
これらの施策により、製品の機能面にとどまらない価値を提供するとの販売戦略や、常に新たな機能やデザインを生み出すとの開発戦略を成功に導き、競合他社との差別化や競争優位性の構築を図ることができるのです。
このことは電話受付での販売も同様です。特に電話受付においては、販売面について、顧客の状況に応じた購買量や購買サイクルをアドバイスすることにより継続的な購買に繋げることができます。また、開発面について、顧客ごとに購買動機、利用人数や家族構成など今後のマーケティング戦略に必要な情報を収集することができるのです。
デジタルコミュニケーションツールを利用していない既存顧客とコミュニケーションをするには、氏名と住所等を登録した顧客データベースを活用する方法として、▽製品やアフターサービスの案内(チラシ、パンフレット)をDMで定期的に行う、▽最後の利用から一定期間経過後、または誕生日などの節目需要に、DMや試供品を送付する、▽来店時やDMで無料または割引のクーポンを渡す、▽ポイントカードを発行してポイントを割引販売や他の販促手法の特典として利用する、▽顧客紹介制度をDMで案内し、肯定的な口コミを促すことが挙げられます。また、▽顧客アンケートや来店時に製品の品質・機能に対する満足を聴く、▽顧客に対してグループインタビューを実施して顧客の意見や要望を聴くことにより、製品の開発や改良に活かします。その他、▽商店街のイベントに参加し、イベントスペースや店頭において独自の催事を開催し、当日限定のサービスを行うなどの方法が考えられます。
顧客との個別対応を通じてオンライン販売の利用方法などを伝え、オンライン販売へ誘導することも検討しましょう。
なお、無料・割引のクーポン、ポイントの付与や顧客紹介制度は、オンライン販売の顧客に対しても電子メールやSNSの配信により活用することができますので、店舗販売との連動が必要となります。