職場内での賭博と刑罰、懲戒

 職場内で、どのサッカーチームが優勝するのかをそれぞれ予想し、金銭を徴収して、優勝チームを当てた社員に集まった金銭を与えるという遊びが行われることがあります。こうした行為は賭博行為となり、刑罰を受けることになるのでしょうか。

 賭博をした者は、50万円以下の罰金または科料に処されます。賭博は、行為者自身の動作により、また行為者の動作とは無関係に、不確定な偶然の事情にかかっている結果により勝敗を決し、これに関して財物を掛けることをいいます。

 偶然の事情には、当事者または第三者の能力が結果に影響を及ぼす場合でも、偶然性に依拠していれば賭博となり、野球や相撲、ゴルフ等のスポーツもこれに該当します。また、客観的には既に確定している事情も含まれるので、スポーツの勝敗が決まった後にその結果について金銭を掛けることも賭博となります。少額の賭け麻雀であっても、金額の多寡にかかわらず、金銭は「財物」に該当します。

 また、財物を掛ければ賭博となるので、現実に財物を提供したかどうかは問いません。優勝チームを予想して金銭を掛けた時点で賭博となり、優勝チームを当てた社員に掛金が交付されなくてもよいのです。

 したがって、どのサッカーチームが優勝するのかを予想して金銭を掛ける行為は賭博となり、賭博行為をした社員は刑罰を受けることになります。

 ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、処罰されません。軽度な価値しか持たないものは刑法が対象とする財物ではありません。例えば、ジュースや昼食をおごるといった程度は「一時の娯楽に供する物」といえます。ゴルフで昼食を賭けるというのは処罰の対象にはならないでしょう。

 人事労務担当者としては、賭博に参加した社員に対し、スポーツで金銭を掛ける行為は賭博に当たり、処罰の対象となることを説明し、今後は職場内で賭博をすることを即時に禁じた方がよいです。

 会社の指導に従わず、賭博を続ける社員がいれば、懲戒処分を検討する必要があります。

 

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