社員が社内で撮影した写真をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿することを禁止し、違反した場合は懲戒処分を課すことはできるのでしょうか。
就業規則の服務規律に次のような条項を追加し、この規定に違反した場合は懲戒事由になることも明記すれば可能です。
- インターネット上で会社の機密情報、職務上知り得た情報および会社が不利になるような情報を流さないこと
- SNS等の情報発信ツールにおいて、会社の業務に関する情報を掲載してはならず、これに反し掲載を行った場合は、会社が行う掲載削除要求に直ちに応じ、削除すること
しかし、社内で撮影したとはいえ、特に機密情報などが映っておらず、会社に不利にならない場合であれば、いったんは口頭または書面による厳重注意で済ませることは考えられます。
逆に私生活についてSNSに投稿することを禁止できるのでしょうか。問題となるのは、例えば、うつ病で休職している社員が友人と旅行に行った写真を投稿する場合などです。
休職中の生活状況をSNSで公開することは、休職者の穴埋めをしている他の社員のモチベーションにも影響しますので、規制の必要性があるのですが、他方で業務外のプライベートを一律に制限することはできません。そこで、就業規則等で明文化するにしても、私傷病が回復済みであるなどと会社関係者に誤解を招くような投稿を控えるという程度の条項を設けて、社員に義務づけることになります。就業規則等に規定がある場合でも、休職時に趣旨を説明した上で当該社員の個別同意を得た方がよいです。
いずれの場合も、就業規則に規定がないとしたら、懲戒処分を課すことはできませんので、口頭または書面による厳重注意で済ませつつ、規定を明文化する必要があります。就業規則を変更するには労働者代表の意見を聴取しなければなりませんが、この手続を踏むことはもちろんのこと、SNS投稿は私生活に関わりますので、社員が理解できるような説明を心がけてください。