労働者に時間外労働や休日労働をさせるには、労働基準法36条に基づく労使協定(三六協定)が締結されなければなりません。たとえ使用者が労働者から個別に同意を得ても残業は違法として処罰されます。
三六協定には、時間外・休日に労働させる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数(18歳未満の年少者を除く)、1日および1日を超える一定の期間についての延長することができる限度時間または労働させることができる休日を定めます。時間外労働・休日労働の事由については、「業務繁忙」という無限定な内容ではなく、例えば、決算業務など具体的に業務を限定することが必要です。
三六協定において、①納期に完納しないと重大な支障を起すおそれのある場合、②賃金締切の切迫による賃金計算または棚卸し、検収・支払等に関する業務ならびにこれに関する業務、③配管、配線工事等のため所定時間内に作業することが困難な場合、④設備機械類の移動、設置、修理等のため作業を急ぐ場合、⑤生産目標達成のため必要ある場合、⑥業務の内容によりやむを得ない場合、⑦その他前各号に準ずる理由のある場合は、原則月40時間を超えない範囲で労働時間を延長することがあると定められており、これを援用する就業規則の規定が定められていた場合、労働者が残業義務を負うのかが争われた事案があります。最高裁判例は、使用者が就業規則に三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて残業する義務を負うと判断しました。
すなわち、三六協定を締結したとしてもそれだけでは足りず、就業規則を作成しなければ、労働契約上、使用者が労働者に残業を命じることはできないということです。
そこで、最高裁判決が合理性を認めた三六協定の内容を参考にして、三六協定の締結とともに、就業規則を作成するようにしましょう。ただし、最高裁は上記⑤ないし⑦所定の事由はいささか概括的、網羅的であると指摘しているので、各企業の実情に応じつつ、具体的かつ明確な時間外労働・休日労働の事由を定めるようにしてください。
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