労働基準法は、労働者に週1回の休日を付与することを義務づけています。この休日に働かせる場合には三六協定が必要です。しかし、休日振替は別です。
休日振替は、休日に労働する替わりに、あらかじめ別の労働日に休日を振り替えることをいいます。労働基準法は休日振替について何も規定していませんが、厚生労働省は、①就業規則に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができること、②休日振替の具体的事由および振り替えるべき日の規定を設けること、③休日を振り替える前にあらかじめ振替休日を振り返られた日以降できるだけ近接した日に特定して振り替えることを条件に、休日振替を認めています。
就業規則による振り替えられた本来の休日における労働は休日労働ではなく、三六協定の締結は必要でなく、休日労働割増賃金を支払う必要もありません。したがって、使用者としては、上記3つの要件を就業規則に定めた上で、事前の休日振替を実施してください。また、就業規則には、振替休日の要件だけでなく、手続、割増賃金、振り替えた休日の再振替禁止、代休の取扱いなどについても定めておくとよいでしょう。
休日を振り替えたことにより労働時間が週40時間を超える場合には三六協定の締結と時間外労働(残業)割増賃金の支払いが必要となります。
これに対し、就業規則に規定がない場合は、業務命令により振り替えられた本来の休日における労働は休日労働となり、三六協定の締結が必要であり、休日労働割増賃金を支払わなくてはならなくなります。
なお、就業規則に定めた休日振替の事由に該当せず、事前に振替休日が特定されていなかったのに、休日労働をさせた場合に、後日代償として代わりの休日(代休)を付与しても、休日振替とはなりません。代休を付与しても、休日労働の割増率35%の割増賃金を支払わなければなりませんので、留意してください。
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